１９７０年代後半～ポセイドンのめざめ

　ギターに初めて手にしたのは中学一年生。中学生にもなって人とも交わらずプラモばっか作ってるのは如何なものか？とでも思ったのか、ある日突然父親がノンブランドのフォークギターとビートルズの楽譜（五線譜じゃなく歌詞にコードがついてる簡単なもの）を買ってきたのです。情操教育のつもりだったのでしょうね。しかし後になって狭い家の中にギターが何台も立てかけられることになるとは夢にも思ってなかったでしょう（笑）
とにかくこのチューニングがすぐ狂うフォークギターで基本的なことを吸収しました。
　そして高校に入学。するとすぐにスクールカーストが出来上がり、イケてない我々は教室の隅っこで、ひたすらマイナーでニッチな趣味の話で盛り上がる日々でした。そんな中で「やっぱりビートルズ最高」「ギターが弾ける」「ガキの頃ピアノ習わされてた」挙句は「ドラム叩けるヤツ知ってる（笑）」という連中がいたことで、じゃあバンドでもやってみるかと自然発生的にバンドを始めることになったのです。
　そうなるとまずは楽器です。さすがにフォークギターでビートルズコピーと言うわけにもいかないのでエレキギターを買うことにするのですが、何事にもセコいことがポリシーの友人Ｄが「二人同時に買ったら、より割引してくれるかもしれない」と言い出して、近場で一番大きかった今は亡きＴ無線に出掛けます。
　友人Ｄは早速プレベー（グレコのだったかな？）を買うことにしますが、生憎こちらの欲しかったチェリーサンバーストのレスポールモデルは、予算に見合うどのメーカーでも売り切れ。購入を渋っていると友人Ｄが「ここで決めなアカン。割引き上増し出来ひんやん」と生粋の関東人のくせに妙な関西弁で圧力をかけてきます。確かに割引プラスアルファはこちらにとってもありがたい。というわけで店舗在庫の中では一番気に入ったアリアプロⅡのレスポールモデルＬＳ-４５０ブラウンサンバーストを購入します。

①アリアプロⅡ　ＬＳ-４５０

　これは、もともと欲しかったチェリーサンバーストのＬＳ-４５０。ブラウンサンバーストはチェリーサンバーストの赤味が退色変色して茶色っぽくなった（ハニーバースト）という色味ではなく、最初からウォールナット（こげ茶色）と黄色で塗られていた感じです。
　残念ながら当時の懐事情ではカメラなんて持てなかった（使い捨てカメラが流行るのはもっと後年）ので、このギターの写真はまったくないのですが、ありがたいことにネットで掘れば何かしら出てくる現代、当時の記憶に近しい画像を見つけました（ＬＳ-４５０ではありません）。

　レスポールの時代考証など全く知らなかったので、ＬＳ-４５０デフォルトのメタルトップハットノブが安っぽい感じがしてスピードノブに付け替えていたのですが、それもこの画像とぴったり一致。
ただここまでグラデーションが曖昧なハニーバーストではなくて、もっとウォルナットと黄色も鮮やかでグラデーションもくっきりとしたサンバーストだった記憶ですが、このくらいで妥協しようと思います。
　このＬＳ-４５０は２年生の文化祭まで使いましたが、狭い貸しスタジオでぶつけたり金属メッキが曇ったりしてきたので、新しいギターに買い替えようと探し始めます（２台持ちでもいいじゃんという概念はまだありません）
　ちょうど音楽雑誌のＭＡＣ保田さんや日高富明さんの記事で、オールドギター（今でいうヴィンテージ）が注目され始めた時期で、そこで「レスポールはトラ杢が出てなきゃダメ」という変な刷り込みがなされ（笑）、とはいえトラ杢のレスポールはたとえ国産コピーモデルでも高価格という現実からレスポールを諦め、杢目にあまりこだわらないフェンダー系に目を向けます。
フェンダーと言えばまずストラトですが、シンクロナイズドトレモロの扱いが面倒だよというまわりの指摘を真に受けて、じゃあテレキャスターを候補にと考えて、Ｔ無線に今度は一人で何回か通いじっくりと吟味して、最終的にグレコのＴＬ６００Ｊを購入します。

②グレコ　ＴＬ６００Ｊ

　これまたネットの画像から。
　テレキャスターは映画「レット・イット・ビー」でジョージが使っているのを見て気になっていたのです。（あと「ホテルカリフォルニア」のＭＶでジョー・ウォルシュが使ってましたか。）レスポールにしたって「ジョンとヨーコのバラード」のＥＰ盤ジャケットでジョージが抱えてるのを見ていいなと思ったくらい、初期のギター選びにはビートルズが多大な影響を及ぼしているわけですが、ところがＴＬ６００Ｊ購入の決め手になったのは、当時の愛読書「ヤング・ギター」の表紙でした。